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女子聖学院ディベート部 |
この試合は、ぼくが激怒した試合だった。ちょっと決勝トーナメントに残れて気が弛んだんじゃないだろうか、そんな感じの試合だった。結果は3-0だったが、内容的には北嶺のほうが上回っていた。 ただ、北嶺はストラテジーでこちらが示した「道州制=連邦制」に対して、代替定義を示してきたのだが、ここはちょっと無理があったかもしれない。 メリットは「民意の反映」。「公共事業の健全化」のままなんだけどラベルだけ変えてみた。 デメリットは「社会資本整備・作成が困難になる」「財政格差」だった。 とにかく、相手のネガティブブロックの作り方が上手だった。 否定側第1反駁はこれまでの試合で一番丁寧に資料をつけて反駁してきた。 現状分析に対して、6点。解決性について1点。 これに対して、肯定第1反駁はかなり雑な返し方しか出来なかった。 例えば、否定側は公共事業が官僚主導で行われているという肯定側の現状分析に対し、新聞記事から現在の小泉内閣で政府主導になってきており、問題は解決の方向に動いていると反駁していた。 これに対して、肯定1反では、反駁があたっていない、プランを取らないと根本的に変わらない、国会が参加できていないという反論をしていた。 しかし、ここは現状でいくら内閣主導になっても、そもそも総理大臣が民意で選ばれていない(自民党員全てが総裁選で投票したとしても全国民の数%)というシステムとしての比較をしていくのがストラテジーとしてほしかった。 また地元の要求を押し付けてくるという議論に関しても、「議会を通すからチェックができるようになる」という反駁をしたが、プラスして、現状では公共事業という不合理な選択肢しかないから、公共事業を増やせという要望が来るのであって、プラン後は合理的な選択肢が増えるから返って族議員の活躍する場所はなくなるといった反駁もできたはずだった。 そうすれば、解決性への反駁で出てきた「癒着が増える」という議論もまとめて返せた。 この試合では、自分達の議論のどこが強いのかが全く見えないまま試合をしていた感じだった。 第2反駁でも自分達の議論をまとめるスピーチはできたが、相手のシステムとの比較が全くできていなかった。 みんな分かっているはずの事ができていない。 とにかく、相手の議論をきちんと聞くという初歩の初歩ができていない、ということで、負けを覚悟した。 判定審議中に生徒達にはかなり厳しく出来なかった所を指摘した。 「僕の判定では負けだ」とまで言い放った。 ただ、相手がこちらのプランではなく、あくまでも自分達の代替定義に沿った議論を展開してしまったため、かろうじて勝つことができた。 この試合も、勝つには勝ったけど、上手く出来なくてまた泣いていた。 「わかることとできることは別だね。だからもっともっと謙虚にならなくちゃいけない」そんなことを話した。 控え室に返ってくると、卒業生の樋口が、創価OBの小栗君のメッセージを伝えてくれた。 「全然出来なくても、3ー0だったんでしょ。だったら上手くできたらもっと強いんだから自信をもって!」といったような内容だッた。それを聞いて感激して、生徒達はまた泣いていた。人の情というものの有り難さがひしひしと感じられたのだろう。 |
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筑田 周一
s_chikuda@hotmail.com
最終更新日: 01.8.17